最近では多くの会社で「SE」と呼ばれる役職が普及しています。SEは「システムエンジニア」の略称です。英語のように見えますが、日本独自の和製英語であり、その定義もかなりあいまいです。一般的には、会社内のシステム設計を担当する情報処理技術者をSEと呼ぶことが多い傾向にあります。
しばしばSEはプログラマーと混同されがちです。実際、SEの仕事はプログラミングのプロであるプログラマーにも可能な作業であり、海外ではSEとプログラマーを兼任しているケースも少なくありません。
それでは何故日本ではSEという役職が非常に重要視されているのでしょうか?それは、日本の会社の社風と関係があります。日本の会社は社員同士のつながりを非常に大切にしており、情報システム改善の要望を聞いたりアプリケーションの使い方が分からない時にレクチャーしたりするポジションが重宝されています。エンドユーザーとコンピュータをつなぐのがSEであり、man-machine system(マンマシンシステム)の橋渡し役と言っても過言ではありません。
プログラマーの経験があれば誰でもSEになれると思うのは間違いです。両者は、大工と建築士、あるいは薬剤師と医師のように全く別物の役職です。オタマジャクシは成長すればやがてカエルになりますが、必ずしもプログラマーが優秀なSEになれるとは限りません。
プログラマーは文字通りプログラミングのプロであり、純粋に情報処理スキルが第一に問われます。いわば職人気質の役職と言えるでしょう。
その点、SEに求められるのは「幅広い視野」と「バランス感覚」です。自分の担当分野のみに集中するのではなく、常に多角的に状況を観察して的確な判断を下す柔軟性が問われます。SEの資質は経営者の資質であり、実際、SE出身者には社長の座まで上り詰めた方も少なくありません。
SEを目指すなら、何よりも「人間関係に強くなること」がとても大切です。様々な部署の社員と直に会って話を聞くコミュニケーション能力、改善すべき問題点を発見する観察力、新たなプランを提唱するプレゼンテーション能力、ビジネスマンに求められるあらゆるスキルをバランスよく習得することが大切です。
SEは、ひたすらコンピュータと向き合うだけのプログラマーとは目指す方向性が大きく異なります。SEとプログラマーでは求められる技能が違うのだということをしっかり意識し、的確な学習プランで自己を磨くことが重要です。